ヴァイオリン
クリスティアン ·テツラフ
Christian Tetzlaff
Photo by Giorgia Bertazzi
クリスティアン・テツラフは現代最高のヴァイオリニストのひとりであり、常にエキサイティングな活動を展開している。彼のコンサートは、しばしば共演者にも聴衆にも、価値観を覆されるような体験をもたらし、耳なじみのある古い作品に突如として全く新たな光を当てる。ヨアヒムのヴァイオリン協奏曲やヴィオッティのヴァイオリン協奏曲第22番のように忘れられた名曲に目を向ける一方、イェルク・ヴィトマンのヴァイオリン協奏曲(2013年初演)のような現代の作品の紹介にも積極的である。幅広いレパートリーを持ち、年間100回あまりのコンサートをおこなっている。また2023年以来、ハイムバッハのシュパヌンゲン音楽祭の芸術監督を務めている。
これまでカーネギーホール、ウィグモア・ホール、そしてベルリン・フィル、チューリッヒ・トーンハレ管、フランクフルト放送響、ドレスデン・フィル、ソウル・フィルのアーティスト・イン・レジデンスを務め、2021/22年シーズンは再びウィグモア・ホールのアーティスト・イン・レジデンスに、2022/23年シーズンにはロンドン交響楽団の「ポートレート・アーティスト」に選出されている。また2024/25年シーズンにはラインガウ音楽祭のフォーカス・アーティストや、カンマーアカデミー・ポツダムのアーティスト・イン・レジデンスを務める。
ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ニューヨーク・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、またロンドンの主要オーケストラなどと共演。セルジュ・チェリビダッケ、ベルナルド・ハイティンク、ロリン・マゼール、クルト・マズア、クリストフ・フォン・ドホナーニといった伝説的な存在をはじめ、カリーナ・カネラキス、ダニエル・ハーディング、パーヴォ・ヤルヴィ、ウラディーミル・ユロフスキ、アンドリス・ネルソンス、サー・サイモン・ラトル、フランソワ=グザヴィエ・ロト、ロビン・ティチアーティ、エサ=ペッカ・サロネ
ン、マイケル・ティルソン・トーマス、バーバラ・ハンニガン、インゴ・メッツマッハー、ケント・ナガノら指揮者と共演している。
録音では、バルトークの協奏曲の録音やベートーヴェンとシベリウスのヴァイオリン協奏曲の録音で数々の賞を受賞、2022年にはブラームスとベルクの協奏曲を録音し、高く評価されている。J.S.バッハの無伴奏ソナタとパルティータを今までに3度録音しており、The Strad誌は、2017年の録音を「バッハの無伴奏作品に宿る美への細心かつ快活な応答」と評し、絶賛した。
室内楽では1994年にテツラフ・カルテットを結成、また妹のターニャ・テツラフ、ピアニストの故ラルス・フォークトとのトリオでも積極的に活動し、このトリオでのシューベルト作品の録音は数々の名誉ある賞を受賞している。
ドイツのヴァイオリン製作者ペーター・グライナーの楽器を使用。クロンベルク・アカデミーで定期的に教えている。
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1966年ハンブルク生まれ。現在、家族と共にベルリンに在住。その驚くべき演奏技術に加えて、テツラフが唯一無二の音楽家である所以は主に3点ある。――彼は作品を譜面に忠実に奏で、音楽を言語として捉え、常識を覆すことも厭わない洞察を通し、傑作を物語として紡いでいく。彼はこの一見当たり前のように思える独特なアプローチを、日々のコンサート活動に取り入れている。
そして譜面を可能なかぎり深く追求しようと努める。ありふれた技術的な“近道”に甘んじようとしない彼の姿勢は、しばしば、有名曲から新たな明晰さと豊かさを引き出す。彼はヴァイオリニストとして作品の背後に身を隠そうとしているが、かえってそれが、ことのほか独自な演奏を生み出している。
またテツラフは、ヴァイオリンを通して“語る”。人間の話し言葉のように幅広い表現手段をもつ彼の演奏は、単に調和や輝かしい技巧だけを追求するものではない。
しかし彼は何よりも音楽史上の傑作を、実体験をめぐる物語として奏でている。というのも偉大な作曲家たちは自分たちの楽曲を通して、強烈な感情や、この上ない幸福感や、深刻な危機と向き合ってきた。テツラフもまた、一人の演奏家として、感情と音楽表現を極限まで探求している。多くの音楽作品では、生と死そのものが表現されてさえいる。テツラフのねらいは、これを自身の聴衆に伝えることにある。
テツラフが長年にわたりユース・オーケストラで演奏していたことは特筆に値する。彼がリューベック音楽大学で師事したウーヴェ=マルティン・ハイベルクの教えによれば、ヴァイオリンの演奏技術を習得するための鍵は、音楽的解釈に他ならない。
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