ピアノ
マルティン・ヘルムヒェン
Martin Helmchen
ドイツ人ピアノ奏者マルティン・ヘルムヒェンの華麗な演奏は、これみよがしな派手さとは無縁だ。彼は、敏速な指とともに音楽の深部へと入り込み、知性と生気に満ちた感情を追求することによって、聴き手を天上へといざなうタイプの演奏家である。
『タイムズ』紙(Geoff Brown, CD『ディアベッリ変奏曲』について, 2018年1月)
彼の演奏は多くの点で模範的だった。とりわけ緩徐楽章において、オーケストラが投げかける厳めしいフレーズに応じる彼のシャイな受け答えは、どこまでも悲しげな遠方の地から私たちのもとに届いているかのようだった。
『テレグラフ』紙(Ivan Hewett, 2016年6月)
私が知る唯一のこと、それは生涯最高のシューマンの協奏曲を聞いたということ。
『ドゥヴォワール』紙(Christophe Huss, 2018年11月)
マルティン・ヘルムヒェンは、ヨーロッパで最も人気のあるピアニストの一人として地位を確立している。その卓越した音に対する感性とテクニックに加えて、その解釈の独創性と強度が彼の音楽を特徴づけている。
1982年ベルリン生まれ、ガリーナ・イワンゾワに師事、その後ハノーファー音楽大学のアリー・ヴァルディのもとで研鑽を積む。またウィリアム・グラント・ナボレ、アルフレッド・ブレンデルからも指導を受ける。2001年、クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝し、そのキャリアを本格的にスタートさせた。
早くからベルリン・フィル、ウィーン・フィルなど世界の名だたるオーケストラと共演。ロンドン・フィル、フィルハーモニア管、バーミンガム市響、ボストン響、シカゴ響、ニューヨーク・フィル、ボストン響、ゲヴァントハウス管、トーンハレ管、パリ管などと共
演。指揮者ではH・ブロムシュテット、M・ホーネック、A・ネルソンズ、J・フルシャ、V・ゲルギエフ、P・ヤルヴィ、V・ユロフスキ、A・マンゼ、山田和樹、C・v・ドホナーニ、B・ハイティンク、D・ジンマンなどと共演している。
室内楽にも熱心で、マリー=エリザベス・ヘッカー、ユリアン・プレガルディエン、アンティエ・ヴァイトハース、フランク=ペーター・ツィンマーマンなどと定期的に共演している。
録音はアルファ・クラシックスと専属契約を結び、ベートーヴェンイヤーを記念してのアンドリュー・マンゼの指揮ベルリン・ドイツ響とのピアノ協奏曲全曲を2020年にリリースし、グラモフォン・アワードを受賞。それ以前もペンタトーン・クラシックスに数々の録音を残している。
2010年よりクロンベルク・アカデミーの室内楽クラスの准教授を務めている。
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Concerto Repertoire